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「お前が俺よか先に教室行ったら俺がこの学校に来た意味ねぇじゃん」
悠哉は、もう一度そっぽを向いて小さな声で呟いた。
しかし、意味がわからない。
「何でよ。わたしは早く教室に行かなきゃ遅刻しちゃうのよ!?」
「俺はお前を守ってんだよ。…俺がどうにかすっから来い。」
わたしの文句に対し誤魔化すように言った悠哉に、わたしは無理矢理職員室へと連れて行かれる。
連れて行かれながら、わたしは先程の出来事を思い出していた。
人間とは思えないほどの速さで走ったこと。
それと、何もされていないのに動けなかったこと。
本当に悠哉は人間なのだろうか?
いつの間にか、わたしの頭の中ではそんな疑問が沸き起こっていた。
「失礼しやっす。ほい、これ。」
職員室の扉を無造作に開け、一番近くの席に座っていた先生に何か書かれた封筒を手渡した。
それを受け取った先生は、封筒の文字と悠哉の顔を交互に見つめ、慌てて校長室へと走って行ってしまった。
そんなに慌てるなんて、一体何が書いてあったのだろうか?
「ねぇ、今何を渡したの?」
わたしは思わず悠哉に尋ねていた。
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