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そんなわたしの前に手がスッと伸びてきた。
「クラスも同じらしい。よろしくな。」
悠哉の手だった。
わたしは頷いて、笑顔でその手を握り返す。
そんな様子を先生達も微笑みながら見ていたのだが…
「ほら、用事が済んだのなら早く教室に戻りなさい。新谷君は机とかを準備するからついて来なさい。」
先生からまたも注意されてしまった。
新谷というのが一瞬誰か分からなかったが、ようやく悠哉である事に気づき、頷いて職員室を出ようとした。
「ちょっと待って。そんならコイツも連れてってくれ。コイツ、いろいろ使えそうだし。」
悠哉はわたしの方を指差し、先生に訴えかけた。
わたしにも、ついて来るように手で合図を送ってくる。
しかし、わたしはそんな悠哉に手を振り、先生にも挨拶をして職員室を後にした。
教室に辿り着くと、当然の如く授業は始まっていた。
「遅いぞ、猪倉。」
先生は、バレないようにコソコソと入るわたしを目ざとく見つけ、低い声で言った。
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