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「すみません…。」
「まぁいい。座りなさい。…で、ここが…」
わたしが謝ったのを聞いたのか聞いてないのか、先生は適当な相槌を打つと、さっさと授業の続きを始めた。
まぁ、怒られなかっただけ良かったと思う。
わたしは溜め息を吐いて席に座った。
その時、背中を後ろからつつかれたため、後ろを振り向いた。
「お前さ、今日男と歩いてたろ?」
後ろの席に座っている男子が興味津々といった感じで、身を乗り出して尋ねてきた。
わたしは見られていたという恥ずかしさで顔を赤らめた。
彼は、わたしの幼なじみの吉岡智。
「何顔赤くしてんだよ。」
彼は、今度は、少し面白くなさそうに口を尖らせて言った。
「あのねぇ、年頃の女の子が顔を赤くしないことなんてある?」
「…は?」
わたしの言葉に、智は理解出来ない、というように、ずり落ちた眼鏡を押し上げ、呆れ顔をした。
その時、丁度クラスがざわめいた気がしたが、わたしは気にしないで言った。
「だから、彼はその…カッコイイじゃない。見たことないくらい。」
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