出会い

3/9
前へ
/53ページ
次へ
その電車が通り過ぎたと思うと、また同じ方向から同じようにして別の電車がやってきたのだ。 更に、何故かその電車は、通り過ぎたと思うと、Uターンして、来た方向へと消えていく。 わたしは、気がつくと震えていた。 たぶん、こんなに誰かと一緒に居たかったと思ったことはなかったと思う。 「な…に、あれ…」 わたしは、そこには居ない誰かに確認するかのように、誰も居ない駅のホームで一人呟いた。 「あ、クソッ!遅かったか…」 わたしが、呟いた直後だったと思う。 後ろから、男の人の悔しそうな声がした。 震える身体を振り絞って立ち上がり、振り返ると、わたしと同じくらいの年の少年が、息を切らしながら、ホームの壁に手をついて、線路を悔しそうに睨みつけている。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加