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そんな少年が、わたしが居ることに気がついたのか、少し頭を動かして此方を見つめた。
「あんた…人間…だよな?」
この人は、一体何が言いたいのだろうか?
確かめるように尋ねた少年を、不審におもいながらも、わたしはコクリと頷く。
「マジかよ…。ってことは、あいつ等を見たのか?女の人とか。」
あいつ等?
女の人?
それって、もしかして、先程の電車の事だろうか…?
そう思った途端、再び恐怖が戻ってきた。
わたしの身体が、再び激しく震え始める。
そんなわたしの様子を見た少年が、慌てて此方に走って来たと思うと、優しくわたしの背中をさすってくれた。
「そうか、見たのか。怖かったよな。」
少年は、そう言うと、優しく、何度も何度も、もう大丈夫だ、と繰り返す。
その言葉に、わたしは安心してしまい、思わず涙が溢れ出した。
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