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「まーとりあえず、拝ませてもらおうじゃないの、大吉に告白しようなんていう物好きな魔性の女を」
それでもやはりどんな子かは気になるようで、コータは八組の教室に顔だけ覗かせた。
傍から見たらかなり怪しい気もするが、ある程度不審な行動をしてるくらいじゃ俺達に話しかけようなんて輩はそうそういないから気にしないでおこう。
「おい、どの子だよ、大吉」
「ああ、えっと……いた、あの子だ」
こうなってくると、いよいよもって不安になってきた。
果たして、吉野小牧からの告白は本当に当たりくじだったのか。
吉野小牧は噂もさることながら、事実その容姿も。
「んなっ、何だとぉ!?」
教室で友達と談笑中の吉野小牧を一目見ると、コータは慌てて顔を引っ込め、俺の胸ぐらを掴んだ。
廊下を歩く生徒達が何事かと振り向き、視線が集まり、俺はそれに対して目を細めるが、コータはそんなことを気に留めている場合じゃないらしい。
「すっげぇ可愛いじゃねぇかこの野郎!迷ってる場合じゃねぇだろ、すぐOKしろ!今しろ早く行け!」
「お、落ち着けコータ。背中押せないんじゃなかったのかよ?」
「あんだけの美少女なら話は別だ!背中だろうが胸だろうが突き飛ばしてやるよ!こんなチャンスもう二度とないぞ。泣かされたっていい、俺が慰めてやるから!」
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