ある意味運命的な恋

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  吉野小牧は、犬で例えるならシェルティのような女の子だ。 低い位置で結ばれた流れるような茶色い長髪は凛として可憐で、それでいて、口を開けば無邪気な人懐っこさが滲み出る。 いや、今の段階では、滲み出ているように見えるってところだが。 「大吉くんてさ、さっきの人といつも一緒にいるよね」 チラチラと、俺の目と、正面一メートルの廊下の床に視線を往復させながら、吉野小牧は呟いた。 「コータ……あの金髪馬鹿のこと?」 「うん。どうして、あんなのと一緒にいるの?」 あんなの。 どうやら、吉野小牧はコータのことが嫌いらしい。 「あんなのでも、俺の唯一の友達だからさ。頭の中も外も馬鹿だけど、結構いいとこもあるんだ」 引き続き、なるべく穏やかに、優しい口調でそう告げて、俺は自販機の手前で立ち止まった。 「でも、それで大吉くんまで悪く言われてるなんて」 「へぇ、俺って悪く言われてるんだ?」 「あ、その……ごめんなさい」 さっきまでの無邪気に見える元気はどこへやら、吉野小牧は肩を落として俺を上目遣いで見つめる。 これが素だっていうのは間違いないだろうな。 「別にいいさ、気にしてないし。どうせ友達なんてコータだけなんだし、どんだけ悪名轟こうが関係ないよ、俺には」 素っ気なくそう返し、俺は財布を取り出した。 校内の自販機は一本百円。 ちょうど百円玉が二枚あることだし、ここはさりげなく奢っておくべきなんだろうか。
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