ある意味運命的な恋

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  「ああ、いや、知ってたわけじゃないんだ」 缶を手渡し、百円玉をもう一枚投入し、さっきと同じボタンを押す。 そういえば、俺はまだ奢るとは一言も口にしてないのに、吉野小牧は当たり前のようにコーヒーを自分の分だと思っていた。 遠慮されても逆に困るが、すっかり奢られ慣れている女子っていうのも、なんだか怖いもんだな。 「俺もブラックが好きなんだ。奇遇だね」 俺の分の缶を取り出しながらそう告げる。 するとどうだろう、吉野小牧の目の色が変わった。 うわ、すごく嬉しそう。 「本当に!?そうなんだ~。えへへ、やっぱりそうなんだ」 吉野小牧は嬉しそうに缶と俺を交互に見つめ、缶を手の中でくるくると弄ぶ。 「やっぱりって、何が?」 向こうから告白してきたんだからある程度俺のことを知っているんだろうが、俺は吉野小牧がどこまで俺のことを知り得るのか想像もつかない。 俺の何を知っていて、やっぱりと言えるのか、気になった。 「あ、うん。なんてゆーのかな。大吉くんからは、私と似た雰囲気を感じるんだー。不思議だよね。ほとんど話したこともないのに、なんだか他人に思えないというか、きっと私のこと理解してもらえるんじゃないかなーって、そう思えるの」
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