ある意味運命的な恋

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正直、これだけ言われては正気でいるのがなかなか大変だ。 いくらなんでも、今まで何の関わりもなかった、せいぜい廊下ですれ違うくらいだった俺のことをここまで特別に思ってもらえるなんて無理がある。 まるで運命的な出会いだとでも言いたげな、甘い言葉。 そんなものを本気で信じ、ほいほい惚れたりするほど、俺は馬鹿じゃない。 そう思うのに、肋骨の内側がギュッと締め付けられる感覚は、どうしても止めようがなかった。 「で、でも、俺吉野さんのこととか全然知らないし、吉野さんだって……」 「だから、大吉くんと付き合いたいの。彼女になれば、誰よりも多く、大吉くんのこと知ることができるでしょ?」 か、軽いなおい。 付き合うって、そんな簡単にしていいものなのか? まずは友達になって、いいとこを見つけて、好きになって、想いを伝えようとして、でもどうしても勇気が出なくて。 とかそういうプロセスを経てやっとこさ辿り着く、ゴールにして新たなスタートってやつなんじゃないのか? こんな、いきなりクライマックスな始まり方でいいのか、俺。 「だから、私と付き合ってください」 缶コーヒーを胸に抱え、顎を引いて微かに頬を染めながら、吉野小牧は再び俺に告白をした。
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