ある意味運命的な恋

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こんな時、本当にどんな顔をしたらいいんだろうか。 俺は今どんな顔をしているんだろうか。 今さっき目の前の女の子を振ろうとしてたくせに、あまり不細工な面は見せたくないなんて思っている俺がいた。 「でもね、例え答えはノーでも、私は諦められないと思うから。だからどうせなら、時間がかかってもいいから、良い返事がもらえるのを待つことにします」 本当に、不思議で堪らない。 この言葉が本当だとしても、その理由が「なんとなく雰囲気が好きだから」では納得しきれない。 この告白に何か裏があるとしても、俺なんかにここまでして得られるものなんかあるんだろうか。 考えても分かるはずはない。 男らしく決断するなら、せめて真剣に、俺の彼女への気持ちだけを考えよう。 「それじゃあ、メールは絶対返すよ。今日か、明日か、明後日くらいには」 「ふふっ、何それ。そんなに深く考えなくてもいいのに」 いや、深く考えようぜ。 女子と付き合うってのは、俺みたいな奴にとってはこの先の人生を大きく左右する選択になりかねないんだから。 「あんまり待たせると、本当に会いに行っちゃうからね」 吉野小牧はそう言って缶のプルタブを開け、一口だけコーヒーを含む。 口を離してからも何も言葉は発せられず、俺も何も言うことができず、吉野小牧が妖艶な笑顔で手を振りながら教室へと帰って行くのを、俺は少し安心しながら眺めていた。 ブラックコーヒーの容赦ない苦さが、今日も俺には心地良く感じた。
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