初めて引いた当たりくじ

3/3
前へ
/193ページ
次へ
  「あ、い、いきなりすぎるよね!ごめんね、なんかテンパっちゃって。戸惑うよね、知らない人から急に言われても」 え、もしかして、告白されたのか、俺。 「答えはいつでもいいから、まずは友達からでもいいから、とりあえず考えてもらえると嬉しいな。あ、そうだ。ケータイ、赤外線で送っとくね」 ケータイ、赤外線。 た、確か俺の携帯電話にも赤外線通信という機能があった気が。 「はい、送信完了。は、恥ずかしいから、私もう行くね。よければ、メールください。メール来なかったら……また会いに来ちゃうから」 どうやら俺は、生まれて初めて当たりくじってやつを引いたらしい。 「じゃあね、大吉くん」 ハッキリと当たりくじだと断言できるくらい、彼女――吉野小牧さんは、俺好みの美少女だった。 訳あってちょっとグレてた中二以降、俺には親友と呼べる人間が一人いるくらいで、恋人どころか俺に近付こうって人間自体少ない。 勿論恋愛経験ゼロ。 “彼女”なんて都市伝説くらいの存在だと思って諦めてた。 そんな俺に、何を間違ったのか舞い降りてしまった幸運。 今なら俺は、ツチノコの存在だって素直に信じられると思う。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1344人が本棚に入れています
本棚に追加