ある意味運命的な恋

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無意識に人と距離を置き、決して自分から近づこうとはしない俺の陰気な生き方を理解しているコータは、それが少しでも良い方に進む可能性があるなら試してみろと言ってくれている。 それもありかな。 こうしてこいつとただ馬鹿な会話をして過ごしていくだろうと思っていた残りの高校二年間。 どうせなら、何か変えてみるのも面白いかもしれない。 これでも俺は、人付き合いは嫌いじゃないからな。 「よし、それじゃあ見に行こう!」 コータは突然立ち上がり、またしてもクラスの何人かが視線をこちらに向け、俺は僅かに眉をひそめる。 「見に行くって、八組にか?」 「おう、だって気になるじゃん。大吉の彼女がどんな子かさ。やたらギャルギャルしてるやつとかだったら俺が認めないかんな!」 「何で俺はお前に認めてもらわなくちゃ彼女も作れないんだよ。つーか、お前だってやたらチャラチャラしてんだろうが」 「よーし、そっのまーえにー、ちょっと情報収集してくるー」 目を爛々と輝かせ、実に楽しそうに、コータは席を離れ、クラスの中心となっている男子グループのところへ乱入して行った。 男子グループとは言っても、我らが二年一組には男子しかいないのだが。
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