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やられた。完璧に入っている。
「い、いってぇー………。」
「山田!大丈夫かよ!」
「どうした!その傷!」
「あはは……。」
今はというとコンサート真っ只中。舞台上はジュニアコーナー真っ只中。汗だくの10人がセット裏に集まってる。
「や、やま、やまちゃ………。」
俺の顔の傷を見て一番青い顔をしてるのはやっぱり裕翔君。もともと色白なんだから青くなってるじゃん。後半はチークでもはたいて出なきゃね……。
舞台上の俺たちから見て右側Cブロックにトロッコが止まり、花道へ帰るときだった。
「涼介」のうちわ。
突然引っ張られる。
抱きしめられる。
引き離そうと暴れると、目の下に爪が入った。
聞こえた声は俺から流れる大量の血を見たお客さんの悲鳴と、俺を抱きしめて離そうとしなかったそのお客さんの「山田の血」という高い声。
怖くて怖くて………。その場から動けなくなる俺をスタッフさんが抱えて連れ出した。
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