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第一章 始まりの定め
「…んで…あ…たの…為に…」
聞き取れなかったけど多分
「なんであんたの為に」
って……殴られなきゃいけないんだって言いたいんだろうね。
義母さんが俺を殴る理由だから。
また足を蹴られた。
鈍い痛みが足から伝わってくる。
だけど足に感覚が戻った…足が無意識に動いて 義母さんの足を横から蹴っていた。
義母さんは、足を蹴られてバランスを崩し倒れ込んだ。
『…がとう』
最初っから声が詰まって上手くいえなかった。
…ありがとうって…。
俺は、立ち上がった。
吹っ切れた様子のリュウカ。
そして廊下に出て玄関に向かった。
不思議だった。
さっきまであんなに痛かったのに今は全然…痛くもなんともない。
義父さんが庭にいた。
また誰かをなぐっていた。
義父さんを睨みポケットに両手を突っ込んで玄関へ直行。
…義父さんが誰かを殴るのは、何回も見た。
カッッと音がして目の前の柱に小刀が刺さった。
投げられた方向を見ると義父さんがいた。
「おい、何処に行くんだ?クソガキがぁ…」
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