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第一章 始まりの定め
とぎれとぎれだけど
話してみた。
俺は、捨て子で義母さんに拾われたこと。
義母さんの病気のこと。
三歳位から義父さんに虐待をうけたこと。
義母さんはいつも…俺を庇ってくれたのに
俺は何も出来なかった事。
助けられなくて…悔しかったこと。
真昼間に家から逃げ出した事。
そして
実母からの置き手紙があったこと…
…色んな思いが込み上げてきて…涙が溢れてきた…
龍麗さんは
俺の頬に手を添えて
流れ落ちる涙を親指で拭ってくれた。
そして
龍麗さんの温かくて大きな手は、俺の後頭部へと移動した。
グイッと引っ張られ
龍麗さんの胸に抱き寄せられた…
龍麗さんの温もりがスッゴク伝わってきて…初めて、安心出来た。
「無理、すんじゃねぇよ。
強がらなくていい。
思いっきり泣いて…やなこと全部、吐き出せ。
俺がいてやる。
俺がお前の全てを
受け止めてやるから…」
一言一言が優しくて力強くて…
温かみがあって、落ち着くんだ…
龍麗さんの吐息は耳を擽った。
抱きしめる腕は
力強くて…あったかいけど…全然…痛くなかったんだ。
龍麗さんの言葉を聞いた瞬間…
涙が止まらなくなって…
泣きじゃくった。
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