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第一章 始まりの定め
パッと義母さんの腕が離れた。
すると
背後で物音が聞こえた。
そして
義母さんは俺の横を通り前方に座る。
義母さんのには救急箱が握られていた。
救急箱を頬まで持ち上げると俺を上目使いで見る。
本人気付いてないよ…
義父さんと祝儀を上げなきゃ…幸せになれただろうな…義母さん。
俺から見ても、可愛いし優しいし。…それに涙脆い。
「行く前にいいでしょ?
手当しよっ。ね?」
義母さんのこうゆーとこ好き。
俺は頷く。
パァッと明るい笑みを浮かべて
救急箱を床に置くと
蓋を開けて包帯やら消毒やらを取り出した。
義母さんは、手際よく傷を消毒して俺の腕に包帯を巻いている。
フラッシュバックされて小さい頃を思い出した。
包帯を右腕に巻き終える時に義父さんの声が聞こえてきた。
義母さんを呼んでいる。
義母さんは俺の顔を覗き戸惑っていた…
『行ったら?』
戸惑う理由がわからずに促したら頷いて襖の向こうへ消えて行った。
俺も手際よく傷を消毒して包帯を巻いてく。
もう慣れたんだ。
手当することに。
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