別の顔

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「暑いね」 諭くんは 眩しそうに 目を細めた。 「ですね」 僕は 諭くんの隣に腰かけて、さっき駅前で買ったスポーツドリンクを差し出した。 「あ、くれるの?」 「諭くんが熱射病になったら困るから」 僕が笑うと ああ、確かに と諭くんも笑った。 「今日は 暑すぎるから もう 引き上げようかと思ってたとこ。良かったら 店に来る?」 諭くんは 釣竿を片付けながら 何気なく言った。 「え、いいの?」 僕は 嬉しさのあまり 思わず顔が緩む。 「どうぞ どうぞ。どうせ誰も居ないし」 諭くんは 立ち上がり、ぱんぱんっと 尻を払った。
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