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諭くんの「Blau」は、大学から駅前まで続く商店街から少し外れた場所にあった。
小さくて素朴で、何故だか少し懐かしいような店。
木製の大きなドアに「CLOSE」の看板がかかっている。
諭くんは ドアを開けて 僕を招き入れてくれた。
「あれ?鍵 かけてないの?」
僕は 少し驚いて諭くんの手元を見た。
「ああ うん、面倒だから」
「でも 売上金とか あるでしょ」
僕に言われて初めて気がついたように諭くんは 頭を掻いている。
「そっか。これから 鍵かけるよ」
「アハハハ…」
諭くんのあまりにも隙だらけの顔に、僕は久しぶりに 声をあげて笑った。
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