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「あのさ、なんか怒ってるなら言ってよ」
僕は 店のレジ前で ぼーっとしている諭くんに言った。
諭くんは ゆっくりこちらを見る。
「…別に何も…」
そう 言って目を逸らした。
「ただ」
「え」
諭くんは 今度は 真っ直ぐに僕を見た。
「ダメなんだ…。オイラ 男の人に触られるの 苦手で」
ああ…と合点がいく。
だから さっき手が触れただけで あんなに焦ってたんだ。
「そうだったんだ。ごめん」
僕が頭を下げると いいんだ、と頭をブンブン振っている。
じっと見つめると みるみる顔が赤くなって行く。
僕は なんだか面白くなって 諭くんに近づいて行った。
「諭く… 「いらっしゃいませ!」
7時になると同時に お客さんが入って来た。
「一哉?!」
一哉が 少し笑いながら そこに立っていた。
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