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「夏休みが終わったら」
諭くんは 不意に話し始めた。
「うん」
僕は 諭くんの帽子の下のよく判らない表情を探る。
「章クン、オイラのことなんか忘れちゃうんじゃないかな」
寂しそうな声に 胸が締め付けられる。
「そんな訳ないだろ!」
僕は 冗談にしようと 少しおどけて言う。
「そうかな」
諭くんは また小さな声で言った。
「どうして そんなこと言うの?」
僕は 諭くんが何を考えているのか解らずにたずねる。
「だって、章クンには こんな生活、似合わないよ。もっと華やかで明るくて、大勢の人に囲まれてる生活が似合ってる」
諭くんは 一気に喋ると また海を見つめた。
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