笑顔の裏側

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「あのさ」 「はい?」 「諭、でいいよ。諭さんとか言われたら気持ち悪い」 諭くんは 少しはにかんで 僕から目を逸らす。 「あ、はい、じゃあ… 諭くんでいいですか」 「うん」 二人で じっと釣糸を眺める。 何も話さなくても その時間が とても大切に思えた。 諭くんの笑顔には 人を癒す力がある気がする。 いつも人の笑顔の裏ばかりを気にしていた僕にとって、それは不思議な気持ちだった。
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