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しかし、その丸い鉄球も次の瞬間には元通りに鉄球が生え揃い、元通りの姿を取り戻していた。
「単純に振り回す事と相手を追い回すだけが取り柄の、単調な武器と思っていたんですが、意外と厄介そうなんですね」
静久が手にしていた鉄のトゲを床に放り投げながら呆れた様な口調で言って見せると、唐梨子は愉快そうにほくそ笑んで見せた。
「驚いたね。今の攻撃を受けて立っているってだけでも驚きなのに、悠長にお喋り出来るなんてさ。そのコートが凄いのか、アンタが特別タフなのか」
「僕は至って普通ですよ。コートは御剣の作品のレプリカで、特殊能力の解放は出来ませんが、強度はオリジナルと変わりません」
ナイト・オブ・フィフティーツーの称号を持つミュータントの女性が称賛と驚愕の入り混じった口調で言うので、土宮家の嫡子は平然とした口調で応えて見せた。
「そうかい。じゃあ、何発喰らったら倒れるか、当てっこでもしようじゃないか」
唐梨子はどこか楽しげな口調でそう言って見せた後、手にしていたモーニングスターを手首のスナップを利かせて振り、壁に減り込んだ鉄球を自身の手許へと引き寄せる。
「出来れば、御免被りたいですね。先程も言いましたけど、このコートは特殊能力の解放が出来ませんからね。我慢出来ても、痛い物は痛いんです」
藤黄の支援者と謳われたミュータントの少年は手にしていた阿修羅鎌を掌でクルクルと回しながらも、華麗さを感じさせる演武を披露し、攻撃的な構えを取って見せる。
「だから、その攻撃をもう喰らいはしません。もう二度と。絶対に」
静久は口許に不敵な微笑みを浮かべて言って見せるので、それを聞いていたナイト・オブ・フィフティーツーの称号を持つミュータントの女性は不愉快そうに表情を歪ませる。
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