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「…好き、になった。」
そう言った俺を、彼女は僅かに目を見開いて黙って見つめた。
当たり前の反応だろう。
ただでさえ、告白というものは相手を驚かすもの。
しかも、
「私は、2ヶ月前にフラれませんでしたか?」
そう、彼女の言う通り。
2ヶ月前に、俺が彼女から想いを告げられた。
更に言うならその8ヶ月前にも。
その2度とも俺はその想いを断っている。
どうして今更、と彼女の立場なら思っても仕方はない。
「勝手かもしれないけど…本当は、好きだった。
ただ、思い切れなくて断ってたんだ。」
こじつけがましいが、事実だった。
予想外の出来事でこちらに引っ越してきて、初めて身を落ち着けた場所で出会った相手。
5つ年下で、それよりも少しだけあどけない性格と、それに反して大人びた顔立ち。
初対面なのにすぐに馴染んで、一緒にいることが多くなった。
意識していない、と言えばそれは嘘になり。
けれど、慣れない場所で気持ちにも何も余裕はなくその想いは封じ込めた。
彼女から、同じ想いを告げられても。
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