超次元自動販売機

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 時は××××年、世界は自動販売機で溢れていた。  道、公園、学校の教室の中、墓、プールの中、井戸の中、トイレの中、海の中、山の中、山中さんちの屋根の上、どこもかしこも自販機だらけである。なので、景色はあまり美しいとは言えない。  何が売っているのかというと、それはもう本当に多種多様だ。ジュース、お菓子、おでん、果物、世界各国のあらゆる食べ物はもちろんのこと、生きとし生ける生物、消しゴムのカスから飛行機や豪華客船などの巨大な物まで、自動販売機で買える。もちろん金があればの話だが……。  今一番、流行っている自販機は生物パーツ自販機だ。死んだ人や生きている人の垢、爪、手、足、目玉、唇、鼻、耳、内臓、血液、あらゆる毛、全てが、単品から買える。  人間だけじゃない。ゴキブリの触覚や、一角獣の角、絶滅危惧種のパーツだって簡単に手に入る。  そして驚くべきことに、手に入るだけでなく装着もできるのだ。  私、一郎は今、とある自動販売機の前に立ち何を買おうか悩んでいる。 「どれにしようかなー、あぁー悩むな。よしこれに決めた」  私は最近発売されたばかりの河童の手に決めた。  2980円か安いな。私はマネーをインした。
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