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『…なかなか、強いな。アルカナム…』
その場には、総勢18もの存在がいた。
――貴様ができて我にできぬことはない。
『…課題追加…ではないな。貴様はむしろ丁寧だ。今回は免除としておこう…』
大ガマは、すでにあちこちが刃こぼれしていた。
<魔王>の腕に触れた瞬間に、腐ってしまうのだ。
――何度やっても無駄だ、人間。おとなしく散るがいい。
『…やれやれ、私は人間ではないのですが。…しょうがない。とっておき、使うとするか…』
ヴァージルの体から、赤い波動が立ち上る。
それが当たった残像たちは、消えうせた。
同時に、体にあふれていた力も。
――貴様、何をした!?
初めて、<魔王>に動揺の色が浮かんだ。
おそらく、史上初めてのことだろうが、ヴァージルには関係ない。
「…さて、な。1つだけ言うとすれば、超律を調律し、あるべき姿に戻した、ということだろう」
同じく1人になったヴァージルは、そう言った。
もっとも、<魔王>にはその力は完全には通用しなかったようだが。
「さて、これで私は調律者になったわけだ。次はお前を調律しようか。アルカナム」
完全な形の大ガマを取り出し、構えた。
……この命にかけて。
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