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そう。朝の魔法合戦。
月曜日だけの恒例イベント。
<学園>全体に結界が張ってあって、少々の魔術では壊れない。人も物も。
そして先生がついていて、時々参加する。
30分ほど続く。
ぶっちゃけ、これから中に入っていくのはかなりの勇気がいる。
たとえ、この中に5人しかいなくても、イリスが入っていても、入った途端、狙い撃ちされるのは目に見えている。
しかも、時々学園長がいる。
危険だ。とても危険だ。
それでも、入らないわけにはいかないので、意を決して扉を開ける。
「失礼しまーす……うわっ」
真っ暗だ。おそらくイリスあたりが何かやったのだろう。
そして、なにか腐敗臭がする。
「遅れました~」
後ろから間延びした声が聞こえてくる。
もちろん、イスラだ。
暗闇の中から誰か出てくる。
頭からねじれた二つの角が生えていて、深いしわの刻まれた顔にはあまり似合わない単眼鏡をかけている。
体長はそれほどなく、150ほどか。
通称、地獄の使者。
「遅かったね。……罰だ」
前回と同じように手を振ると、虚空から巨大な鎌を取り出し、おもむろにふるってきた。
それは的確にアルカナムの体を二つに分ける。
一瞬目をつぶる。
しかし、特に異常はない。
「……つまらん」
彼は先ほどと同じように手をふるうと、鎌は虚空に消えた。
「ヴァージル先生、もう慣れましたから」
アルカナムは皮肉っぽく言うと、先生は軽く舌打ちすると、戦いに参加しろ、と手振りで指示すると、また闇の中に消えた。
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