第一幕

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「嘘じゃないよ、親はいない」 真っ直ぐと、揺るぎない目で土方をみた 土方さんはぐっと刀に力を入れると首から刀を離し、鞘に戻した そして大きく息を吐いた 「亡くなったんですか?」 沖田さんは顔だけをこちらに向けながら言った 「亡くなってたら最高だねあんな親」 皆、目を見開き 「おい、ひでーぞお前親に向かって」 身を乗り出し言ってきた 「止めろ平助!!みっともねぇ-」 平助と呼ばれた童顔やろー (藤堂平助か…) 平助は原田と呼ばれる男に言われ渋々戻っていく 「なぜそんな事を言うんだい?」 泣くのを堪えながら近藤さんは私に聞いてきた 「なぜと言われても、しいて言うなら、なぜ自分を捨てた親に生きていてほしいと願うんですか?全くもって理解しがたいです」 またもやみんなの表情が曇った 「捨てられた?」 今度こそは土方さんの表情も暗くなった
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