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昨日の飲み会は、メンツがメンツなだけに、阿鼻叫喚やった…(笑)
太くんは新入社員に説教を始め、智子は暴れてよっくん先輩と松下主任に取り押さえられるわ、健ちゃんはそれ見てずっと笑ってるわ…。
山田主任と茂三くんは隅で熱燗チビチビ飲んで、たまに度を越すと止めには入ってくれて。
楽しかったんやけど…一個だけ気になる事があんねん…。
何で新入社員はうちの方ばっかし睨むんや?
何かしたんかなぁ~…?
あ、もしかしてこの間気分悪なってんのにエレベーター止めたらんかったから恨んでんやろか?
「で、どーだった?」
「はぁ…なんや睨まれました…」
「しっかしお前、あの状況でよくまぁ一目惚れなんかする余裕あったよなぁ~?」
梅のお湯割りをチビチビと飲みながら、井出と、問題の新入社員…鈴木誠は小声で話している。
結局ろくに飲めないのに飲まされた新入社員は、二次会のカラオケでスピーカーと話し続け、井出に拉致られて泊めてもらうらしい。
「…いや、ほんまにめっちゃ可愛いやないですか~…」
お酒のせいだけでなく、ほんのりと頬が赤いのは、気のせいじゃないらしい。
「でも、睨まれた、と」
「…ハイ」
はぁ~…と、ため息をつく後輩の姿に、井出は元気出せよ!と、また背中を軽くどつく。
「智ちゃんらと飲む時には、絶対誘ってやっから、な?」
「はぁ…ちなみに智さんて…?」
「一番大柄な子いたろ~?長井智子っつーてさ、幼馴染みでさ~…こっちも色々あんだよなぁ~…」
相談していたはずが、いつの間にか井出の愚痴を聞くはめになってしまった誠だった。
だいたい、職場の仕事内容を先に聞く予定だったのに、結局聞けず終いで…新入社員研修もスケジュールびっしりでなかなか…なんである。
「でさ、智ちゃんの上司に松下ってーキザなのがいただろ?あいつぜってー智ちゃんの事狙ってんだよな~…て、おい!、誠、聞いてっか?」
「…聞いてます…」
愉快な職場やな~…って事と、色々揉めそうやな~…って事だけは、昨日の宴会で見に沁みて知った気がした誠だった。
しかし一番の問題は…今夜はともかく…明日はちゃんと自宅に帰れるのか…井出の延々と続く語りに、一抹の不安の残る誠だった…。
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