違和感

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有難迷惑なカップうどんを横目に私は冷蔵庫の中から取り出したエクレアを手に取り上機嫌に椅子へと腰掛ける。祖父は老人会か何かのポスターらしき物を手書きで作っていた。袋からエクレアを取りだし食べ始めると、祖父がぽかんと口を開いて私の顔をじっと見つめてくる。 「今日は、水曜日か?」 「え?あぁ…うん、水曜日。」 どうしたのかと口を開こうとした直後の間の抜けた質問に、背後の壁に押しピンで留められた新聞屋から貰ったモノトーンなカレンダーを見上げ、日付の上に書かれている”Wed”の文字を確認すると私は頷いた。祖父はそうかと呟くと再び自分の仕事に取りかかった。何処へ出かける訳でもないのにいつも堅苦しい服を着て、何をそんなに一生懸命する事があるのかと半ば呆れつつエクレアを食べ終えた私は応接間へと向かった。 当時応接間は私の自室と化していた。元々別の家に住んでいた私達家族は各自自分達の部屋を与えられていたが、祖父の家には台所と応接間を除けば小部屋が3室しかなかった。1つは祖父が、1つは両親が、そしてもう1つの部屋には私と姉が相部屋として使用していた。しかし反抗期を迎えていた私と姉は日々の喧嘩に明け暮れ、ついに私は逃げ場であった応接間を私物化とした。建物事体が古い間取りになっているので、玄関と応接間の隔たりには一枚の扉しかなく、客が来るとすぐに私と遭遇する事になるのだがそこはやむを得なかった。
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