「 1 」

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「もうー、莉乃トイレ長くない?大なの?」 教室に戻ると三花が大きな声で言った。 「ちょっ…違うから!そういうこと大きな声で言うのやめてよ」 三花の発言で一瞬クラスの視線を集めた気がした。 「あはは」 三花はケラケラと笑っている。 スタイルも良くて美人な三花は、男子からモテる。 けれど、そういうことを鼻にかける様子もなく、冗談も言える気さくな性格だから女子の友達も多い。 「もう…」 “早く早く”と手招きしている三花のもとに行くと、早速報告があった。 「見てきたよ!ちょうど職員室から出てきたところだったんだけど。見たことのない人だったから、多分あの人がそうだと思うんだよね」 「どうだったの?」 興奮気味に話す三花に先を促す。 三花の反応からするに、多分そこそこはイケメンなんだろうと思われる。 「それが、若い男の人でね」 「うん」 三花は指で○を形作った。 「うん?」 「イケメンだったよ!」 久し振りに見る三花の満面の笑みだった。
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