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まだ、外に誰か居たのかと声を掛けようとした時、おかしい事に気付いた。
雪が降っている真っ白なその世界で、その人は
“真っ黒”だった。
黒以外の色を何も身に付けていなかった。
おかしい…おかしいよね…?
動揺していると、その人が振り返った。
けれど…その顔さえもが真っ黒だった。
そしてニヤァと笑う口元だけに、白が描かれた。
バンッ!!
突然その人が窓に貼り付き、明日華に言った。
【どうして、呼んでくれないの】
今まで聞いた事のないような、恐ろしく、気持ちの悪い声が鼓膜を揺さぶり、答えることも出来ない程怯えていた。
【どうして?一緒に乗せてよ】
その人は相変わらず笑っていた。
「明日ちゃん!」
「ひっ!」
肩を叩かれ、振り返ると一学年下の皐ちゃんが明日華の肩を叩いていた。
「どうしたん?(どうしたの?)もう行けるんじゃないん?」
「え…?あ、うん。おじさんお願いします」
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