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「今一度申す。道をあけぬか」
男は傀儡の様に眼前に突っ伏す老父に、おそらく最後となるであろう問答をした。
果たして、物言わぬ老父はやはり、物言わぬ老父であった。
「貴様、どかぬと申すのか。この不届きものめ」
男は鞘から刀を抜いた。
子の刻を回った夜道。老父に刀を突きたてる男一人。
異様な光景ではあったが、しかし男は取り立てて道理に違った行動はしていなかった。
「天誅である」
男は刀を振りぬいた。
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