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朝日が登り、鳥のさえずりが聞こえ始め、二人は目を冷ます。
国立魔法学院に通う生徒は皆、学生寮に入っている。
幸い、二人はルームメイトだったため、深夜までの練習ができた。区切りをつけて寮に戻らなければ、寮長にいないことがばれれば大変なことになる。寮長は生徒会長という役職にもついているため、前回寮を抜けて遊んだ時は、外出禁止令が出されて本当に大変だった。
朝から夕方までみっちりと詰め込まれた授業を終えると、エレナがセレニアを心配してか、帰る準備をせずにセレニアのもとに来た。
「いよいよだね、セレニア」
「大丈夫かな……」
放課後の教室、試験時間までは時間があるため、そこで待機していた。
「大丈夫だよ!」
今日この言葉には、なんとなくだが、確信を持てるような気がした。
試験が始まる時刻となり、広い中庭に向かう。
そこには、試験官としての師範が数人いた。否、試験管はたった一人、ユウナ師範のみ。あとの数人は保険だった。
中央に大きな噴水がある中庭は、いつもはサボリ犯の寝床だったりする。
ここの水は神聖で純水なので、基本的に触れることは禁止されている。
「ここで試験とか緊張する…」
「セレニアなら大丈夫。頑張れ!」
「うん!」
試験官の「開始」という言葉の合図と共に、セレニアは詠唱を始めた。
「彼のものに告げるは
誇り高き水の旋律
我が悲哀に答えよ」
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