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一年生の終わりの頃。大抵の精霊を容易く呼べた自分。それを面白く思わない者も少なからずいた。
『あの子だよね。先生達の"お気に入り"』
『何でだろうね。どうせ裏でお金渡したりしてるんじゃないの?』
『それってワイロじゃん!』
楽しそうに話す聞こえよがしな陰口。気にしない様に努めても、馬鹿にしたような声色とクスクス笑いが耳につく。
落ち込まない訳がない。
エレナと出会う前、セレニアに人間の友人と呼べるものは居なかった。唯一の話し相手は精霊達。人気のない山に行って、精霊と会話をするのがセレニアの日課だった。
彼が現れたのはそんな時だった。
何時ものように精霊との会話を楽しんでいると、突然上の方から声が降ってきた。
「あまり同じ場所で呼び出すな。場が壊れるぞ」
「――っ!?」
心の底から驚いた。声はセレニアが背もたれにしていた木の上からで、思わず上を向く。
男の子…?
(同じ年位かなぁ?綺麗な子……。え?)
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