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「エ・レ・ナー!!」
「うわあ!?……ユリアスでしょ。なによ?」
後ろから抱きついたその腕を自分の体から剥がしながらユリアスへと視線を向けた。
「次の授業、薬草園に移動だよ。一緒に行こう?あの子いないみたいだしさ」
別に、エレナに当たりたいわけじゃない。モヤモヤする気持ちが抑えられない。それをエレナに投げつけてしまったが……。
廊下を歩きながら、先ほどのことを反省する。
(謝らなくっちゃ……。けど、なんて言えばいいんだろう?昨日変な人に会いました?)
立ち止まって眉間にしわを寄せながら考える。一つ言葉を考えては頭を振って考えを消す。それを何度か繰り返した後、結論に至った。
(……アドリブでいいや。そのまま言えばいいんだし)
右手首に巻きついている時計を見ると、授業が始まる時間を過ぎていた。この時間は確か薬学の需要なはずだ。
今日は薬草園での実践だったから、薬草園に足を向ける。
「ここの薬草園にある薬草は、毒にも薬にもなるものだ。君たちの学年になると魔法学だけでなく、薬学も習って貰わねばならい。もしかすると、王室所属の魔導師になることもあるからな──」
王室所属の魔導師を宮廷魔導師と呼ぶらしい。ここの師範は皆かつては王室付きだったらしいという噂はあまりにも有名だ。
セレニアはそれを目指しているわけではないが、精霊召喚をすることができるため、祖父に言われて学園に入っただけだだった。
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