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「そもそも合成獣を呼び出せる子なんて初めて見たわ。ある意味凄いわよ」
合成獣を呼び出せること自体、今までの歴史上、一度だけあったらしいが、何百年も昔の話だ。
古い文献によると、当時の技術文明は今より優れていたが、技術の継承者が減って文明が衰退し、それと同時に魔導師も減っていった。それを悲しんだある男が、研究段階だった合成獣の完全体を創り出し、それと同時に、生みの親であるためか合成獣の詠唱にも成功した。
というのが、師範たちの時代では学生時代に教科書に載っていたが、今はそれは黒歴史とされて語る人がいなくなった。
「さ、練習練習!!安全に精霊を呼べる場所、探しましょ。山にでも行く?」
「……そうする」
練習場所は学校の裏手にある大きな山。木々が開けているところまでは数十分はかかり、おまけに斜面は険しいが、常日頃から授業で筋力強化トレーニングがあるため、そこまで辛くはない。
木々が開けているところは憩いの場となっていて、休憩所や、水飲み場がある。
そんな落ち着いた雰囲気の中、心を無心にして声を研ぎ澄ませる。
「清らかなるその力
我の声に応え
我らに力を貸し与えよ」
精霊を呼び出す言葉は人それぞれだ。
誰かの言葉を真似ても心はこもらない。精霊はそれを見抜く。
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