獣と精霊

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「そっか……。せめて、何があったかわかればなぁ」 ポツリと、一人言のように呟いた。 周りに広がるは見渡せど見渡せど、一面の緑。 ここならば、多少の暴走した合成獣が出てきても、シルフ達に頼めばなんとかなる。 実際、師範達もこんな風によく授業に利用する。 「ねえエレナ。精霊って心に応えるんだよね?」 「そうだよ?」 太陽が地平線に近付く頃、セレニアが言った。 それに対してエレナはどうしていいかわからなかった。 「 エレナは試験を通っている。ここで「大丈夫」だの「なんとかなる」という無責任な発言はできなかった。  精霊は、人の心に応えて、それ相応の力を貸すなり、姿を現すなりといった状況によっていろいろと違う。  想いが強ければ強いほど、呼び出しやすい状況にはなる。  しかし、今のニセレニアは呼び出すことすら、ままならない。つまり、想いが足りないのでは、と考えた。  ならば、もっと強く強く、呼び出したいという気持ちを持てばあるいは……? 彼女の練習は、深夜になってもまだ、続いていた。
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