其処で私は変態に出逢った

　
望むものが見つからない、今の状態を人は何と言うだろうか？
『無欲』などと、期限付きの人生に於ける謙虚さと欲しがらない罪深さを履き違えた状態だとでも言ってくれるのか？
そんな腹の足しにならない状態に、救いを求めた自分が満足する訳は無いのだ。花より団子だ！団子よりも欲しいものは……

「どうか、『何か』に成りたい！！」
無人の境内に虚しく響いた声は、漠然とし過ぎた内容であった。
もうすぐ生を受けて四半世紀になろう大人の発言とは思えないが、最近抱え込んだ形容し難いモヤモヤが音となると、曖昧な言葉にしかならなかったようである。
しかし、当の本人たる私からしたら、大声でモヤモヤを吐き出せた訳であるから多少なりスッキリもしてしまっている。何と安上がりなことである。

そして、結果だけで言えばこの願いは成就し、私は新たな一歩を踏み出す事になる。
それが成功だったのか失敗だったのか、はたまた状況を更にこじつかせる事になるのかは今は言えない。
言えないが私は悪くはない変化だと思っている。

そうだろう、そうだろう。
そうやって人生は続くのである。