早い決断

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「ねぇ、突然だけど私の家に住まない?」 「んえ?」  私、疲れてるのかな?  聞き間違いかと一度耳を擦って、牛乳を飲み干した。  冷たくて美味しい。 「あの、私なんですか? よく解りません」  もう質問も可笑しい気がするけど、六歳だから許されるかな。  そんな気持ちを大人だから察してくれたのか、優しい微笑みを返してくれた。 「じゃあ思い切って聞き方を変えようかな、母さんの所に戻りたい?」  優しい笑顔に似合わない質問、思わず持っていたスプーンを置いて女の人を見つめた。 「帰らないと……怒られるから」 「怒られないと帰らないの?」 「えっと、そうじゃないけど」  口ごもる私を急かす事もせず、じっと私を見つめて待ってくれる女の人。
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