始まり~琴羽編~

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 夜闇で街灯も無いから顔なんて解らないけど、声は聞いたこと無いくらい優しそうな女の人。  顔が見えるように、しっかり腰を落として私を見つめてきた。 「あなたは必要とされてるから生まれて来たのよ?」 「でも母さんは私なんか生まれてこなけりゃ良かったって言うし」 「お母さん寂しいのかな?」 「でも男がいっぱいいるし」 「でも家には帰って来るでしょう?」 「寝るだけの為、私にご飯食べさせないといけないからしゃあなしに帰って来るの」  段々苛々して来るのに、何で泣いてるんだろ?  それよりこの人誰なの? 「一度お母さんと話してみたら? それでもそんな状態なら何とかしなくちゃね」  そんな私の気持ちを更に高めるように、その女の人は私の頭を撫でる。  暖かくて優しくて落ち着きたくなる手。 「何なんだよ! 簡単に出来たらこんな事になってないっ!」
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