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「――――……お前さえいなければ……」
いつの間にか眠ってしまっていたのは居間。
その事についていつものように怒っているんだと思って、慌てて布団を寝室へ運ぼうとしたその時。
「お前さえいなければっ!!」
腕を掠めるように包丁が布団を刺した。
何が何だかよく解らずに思わず固まり、刺さった包丁を抜く母親を見上る。
その顔は化粧が崩れ落ち、髪は乱れ、化け物と変わりない装いで、目の前で起こるそれはいつもの“暴力”とは違う。
「母さん、ごめんなさい。ちゃんと今日は寝室で寝るか」
「お前なんて消えてしまえば良いっ!!」
「ギャァァァァァッ!」
振り下ろされた刃先が腕に擦れ、ドクドクと紅い液体が流れ始めた。
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