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身体が震えて、頭の中は色んな言葉が言葉にならずに回る。
今この状況をどう理解すれば良いのか解らない。兎に角反射的に手につく物を思い切り持ち上げ投げ返す。
それは本当に、無意識な行動、自己防衛と後で知る行動だった。
テーブルに椅子、タンスにテレビ、六歳にしては有り得ない力と行動に、冷静になった母さんは叫びながら家を飛び出した。
そんな母さんをぼうっと眺めていたら、次第に色んなサイレンが鳴り始め、恐怖感が沸き起こって家を飛び出した。
「母さん、母さん」
それでも私は母さんを呼びながら走り続け、記憶にある唯一の“公園”のトンネルに座り込んだ。
ドクドクと流れていた血はいつの間にか止まり、固まり始めていた。
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