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虎之介は世界絶滅危惧種に指定された“銀虎族”だった。
銀虎族は数の減少してきた虎族の中でも特に稀少で、その中でも雄の数は雌に比べ極端に少ない。
雌雄問わず18歳(青年期)になると進化し、銀色に輝く髪と美しい縞模様の銀の尻尾、そしていずれも美しい容貌で独特の妖しい魅力を兼ね備える。
加えて、雄のみが青年期になると、魅惑的な香りを発し、雌以上の圧倒的魅力で周囲を虜に…この為、金持ちは手元に置き愛玩したがり、雄の銀虎族は闇取引され高額の値をつけられる…
しかし、青年期になると力が強く性格が荒くなる為、捕らえることがほぼ不可能…
故に、非力な幼少期に誘拐し長い間監禁される非情な事件が続出し、監禁下で青年期に入った途端、鈍った体は急激な進化に耐えきれず、命を落とす悲しいケースが後を絶たない。
それにより数が一気に減少し、事態を重くみた各国の政府が、秘密裏に銀虎族の子どもを猫族の中でも特に高い知性と能力を持った虎猫夫婦を選び、彼らに子どもを託す“銀虎族をまもろう”プロジェクトが発動したと言う。
そしてその中に虎之介がいた。
このプロジェクトのおかげで雌の数は回復傾向にあるが、雄は今なお狙われ、悲しいことに数は回復していない。
「そんな…じゃあ」
「それでもおまえは父さんと母さんの子どもだ」
力強い父さんの言葉と目が支えてくれた。
「うん…今まで守ってくれて…ありがとう」
涙を拭う虎之介に
「何言ってるの?あなたは私達の大切な大切な息子よ。それにこんなイケメン息子、なかなかいないんだから」
母さんは涙を浮かべて笑い、虎之介を抱き締めてくれた。
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