○ ふわふわ… ○

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○ ふわふわ… ○

彼はその場にいるだけで、誰よりも人目を惹き… そして、讃えられた… 黒真珠のようだと… その光沢は、他の同色の者達の追随を許さない。 それは彼らの数少ない一族に脈々と流れる血が成せる業だろうか? それにも増して皆の心を捉えて離さないのは、彼の美貌… 男女問わず彼…黒月の前に跪き、愛を得ようと哀願する…… 「今日は誰が相手して欲しいの?」 教室の自分の椅子に腰掛け、足を組むその姿さえも、一枚の絵のようで… 「黒月様。私を…お願いします」 真っ白い長い耳を持った美しい少女が潤んだ瞳で必死に足にすがった。 「あん…う~ん、同じ兎族はもう飽きちゃった」 少女を見下ろす彼の目はひどく冷たい。 「最近猫ちゃん相手してないなあ…」 「私を…」「僕を…」「お願いします」 頬を紅潮させ群がる猫耳の彼等を値踏みしていた彼は、ふと、教室の隅にぽつんと座る少年を見つけた。 「ちょっと、アイツ呼んで」 黒月は顎で、腕にすり寄っていた垂れ犬耳の少年に言った。 彼は少年の傍へと行き、首を振り嫌がる彼を無理矢理、黒月の前へと突き出した。 すべては黒月の寵愛を得たいが為だけに… 「うわっ…グレーのとら猫ちゃんだあ…かあわいい……こんな可愛い子が同じクラスだったんだ…おまえ名前は?」 顎持ち上げ、翡翠色の目で覗き込んだ。
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