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黒く艶のある長い髪をひとつに結び、可愛らしい笑顔をみせる女の子。
大志先輩にふさわしいくらいの美女だった。
『略奪愛』だなんてふざけたことを言ったものだ。
敵うわけがない。
ボクは男だし、全然かわいくないし、大志先輩にはふさわしくない。
ぼんやりと見つめていると、ふと肩を叩かれ振り返る。
そこにいたのは試合を終えたばかりの響先輩だった。
「…まこちゃん、実は大志のやつ…」
言い辛そうに顔を歪める先輩。
きっとボクに気を使ってくれてるんだ。
「はい、彼女、いるんですよね。あの子ですか?」
響先輩は驚いた顔を見せたけれど、すぐに視線を彼女へと向けた。
「あ、うん。マネージャーでもあるんだけど、大志が転校してきてから結構すぐに…」
大志先輩の一目惚れ、だったらしい。
乾いた笑みがこぼれて、止まらない。
響先輩が心配そうにこちらを見ているけど、伝わるのは哀れみの視線だけ…
ははっ
やっぱボクには勝ち目なしじゃん。
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