プロローグ~幼き自分~

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      * 「君が、烏丸快斗(からすまかいと)君だね」 上を見上げると、白衣を着たおじさんが立っていた。 無精髭と、温かい笑顔が印象的な人だ。 「そうだけど……、おじさんは?」 知らないおじさんには付いていっちゃ駄目って言うからね。 彼は笑顔のまま言う。 「私はある研究をしていてね。君のお父さんと同じだよ」 「パパと?」 「そうだよ。パパと同じ、人を救う仕事をしてるんだ」 “人を救う”。五歳の僕にとっては、この言葉はとてもかっこよかった。 「へー、すごいね!」 「だけどね、それには君の力が必要なんだ」 「僕の?」 幼稚園の先生からは『烏丸君の魔法は珍しいね』とは言われたことはあるけど……。 「これを観てくれるかな」 おじさんはパチン、と指を鳴らすと、映画のスクリーンのような画面が浮かび上がる。 あまりの突然さに、心臓が飛び出そうになった。  
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