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十二時過ぎ。
やっと解放された俺は、『昼飯を食べに行く』という名目で外出許可を出た。
及川に指定されたのは学校から少し離れたハンバーガーショップだった。
まぁ、昼食の定番ではあるけれど。
『ビッグマックセット』を食しながら、及川と言葉を交わす。
「【式神】は何て?」
「近くで反応はないってさ。ロシアにはあったって言ってたけど」
「……ロシア?」及川は訝しげに眉を潜め、「じゃあ間違いないな」
「何が?」
「『聖隷の魂』の正体」
ガタッ、と思わず立ち上がりそうになった。
彼は黙って視線をホログラムみたいな映像に向ける。
俺も釣られてそちらに視線をやる。
一般大衆向けにニュース番組を設定しているらしい。
『領土問題を解決するために来日したロシア皇太子は、昨日も終始笑顔で会談に臨んでいました。会談は今後も続く予定で――――』
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