魔導師誘拐事件

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  「快人、“西田匠は学校に来ていたか”?」 「は?……いや、来てなかったけど。昨日も来てなかったし、サボりじゃねぇの?」 またしても意に介さず、「手遅れか。こりゃあヤバイぜ」とか何とか苛立たしげに呟いている。 いったいどうしたんだ?そもそも、匠と何の関係が―――― 「率直に言うぞ」 心の準備をする暇もなく、 「西田匠は誘拐された可能性が高い」 それは告げられた。 それを理解するのは、秒針が一周しても足りない。 かろうじて絞り出せた一言は、 「……じょ、冗談だろ?」 否定するものだった。 「……」 及川は無情にも首を横に振る。振ってしまう。 思考が追いつかない。疑問しか湧いてこない。 何で?どうして?何のために?誰が?いったい?何故? あり得ない、あり得ない――――ッ  
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