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僕がこくり、と頷くと、それを確認してからおじさんは言う。
「君の血液――魔力を提供してくれないだろうか?」
いきなりの願いに、言葉が詰まる。
おじさんは補足するように、
「君の魔力は非常に魔物と似ている。それを調べることによって、魔物に対する兵器が造れるかもしれないんだ」
難しすぎて、言っていることの半分は理解できていない。
だけど、なんとなくこの人は世界のために働いているんだろうとは思った。
だから、
「そうしたら、あの人達は悪い魔物に勝てるようになるの?」
尋ねた。
先程の映像を思い出しながら。
「ああ。勝てるよ、必ず」
それを訊ければ、僕の答えは決まっていた。
「うん!」
おじさんは、僕に目線を合わせるようにしゃがみこんで、
「ありがとう」
握手を求めてきたから、僕もそれに応じた。
家に帰り、良いことをしたんだと嬉々としてパパに報告したけど、
「……そうか」
と返事を返しただけだった。
どこか思い詰めた表情で。
――――
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