魔導師誘拐事件

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  「まったく」 呆れたようにため息を吐く及川。当然か。 しかし。 「そう言うと思って、ちゃんと準備はしてあるさ」 はい?と、疑問を口にしようとした所で、それは払拭された。 「さっさと行くぞ」 大型トレーラーが、店の外で停車した。 どうみても彼はそれを指差し、『ついてこい』とジェスチャーしている。 「……これでどこ行くの?」 日本一周旅行? 「なーに言ってるんだよ。モチ、敵本部へ乗り込むに決まってるぜ」 「……」 そう言ったが、準備の良さに恐怖すら覚える。 「……そうだな」 どのみち、助けに行くんだ。早いことに越したことはない。 及川と俺は食べかけのポテトを持って、何の作戦もないまま大型トレーラーに乗り込んだ。 ……何故か無人だが。 そして、さも当然のように運転席に座る及川進。 「……免許持ってんのか?」 「免許はなくとも技術はある」 だったら走って行きたいんだけど……。 と言う暇なく、不安のみを置き去りにして大型車は出発した。 ――――
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